小説
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歴史小説(九郎義経メイン)
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歴史小説(九郎義経メイン
タイトル
著者
出版社 形態 発表年(初出)
源義経
(講談社・全5巻)
(学陽書房・全4巻)

村上元三
講談社/学陽書房 文庫 1951〜66
 NHK大河ドラマ化・1966年(昭和41年)
数多の義経小説の中で文句なく一番におすすめしたい王道的「義経記」。日本人が古来より大切にしてきた義経のイメージそのままの強く優しく美しい理想のヒーローがそこにいます。終始義経サイドに寄り添った情緒的な作風で、義経を取り巻く人々も皆個性的であたたかく、だからこそクライマックスがたまらなく悲しくて感動的。読後のカタルシス作用は絶大です。こういう場合えてしてイヤミな悪役にされがちな頼朝がクールで威風堂々とした人物として描かれているのも特徴的。1966年大河ドラマ「源義経」の原作本ですが、2005年の「義経」もこれが原作だったらもっとおもしろくなったのに!この小説の義経と滝沢義経のイメージは限りなく近いです。
★★★★★
  
源義経(全)
〜その波乱の生涯を
一冊で〜

小山龍太郎
日本文芸社 新書 1966
NHKテレビ「源義経」いよいよ開始!怪童牛若丸から非情な運命にたおれるまでの波乱万丈の生涯!! 勇あり!義あり!涙あり!この感動のドラマでテレビの興味を百倍に!
1966年NHK大河ドラマ「源義経」の副読本的小説。巻頭にドラマの配役一覧が載ってます。義経の生涯がダイジェスト的に捉えられるごくプレーンなストーリー。ラスト章「伝説の章」では、義経ジンギスカン説や義経のカノジョたちのプロフィールなんかも載ってます。
★★★
源義経
孤独の生涯

邑井操
大和書房 新書 1966
オーソドックスな義経一代記。終始義経に同情的な視点で描かれていてオリジナルエピソードもちょこっと。洗面用の熱い金タライを義経に持たせるサディスティック頼朝、手のひらがジュッと焼けても耐えて持ち続けるマゾヒスティック義経。いや、別にそういうケの話じゃないんですが。
★★★
   
花の義経

大塚雅春
潮出版社 ソフトカバー 1968
黄瀬川の兄弟再会のシーンから始まるセンチメンタルな義経一代記。義経がひたすらケナゲなイイ子です。郎党たちはそんな義経にぞっこん(死語?)。見どころはイジワル土肥実平と、とっても「いいひと」高階泰経。他作品ではまず見られない性格設定です。あと、政子もどういうわけだか何かにつけて義経に肩入れしてくれる。ホントにこんな政子ならよかったんだけど。
★★★★
   
源義経
(物語と史蹟を訪ねて)

土橋治重
成美堂文庫 文庫 1972
※04年に『源義経』として加筆修正、改題の上再版
「史蹟探訪」「スポット」のコラム付。時代背景・位置関係が手に取るように分かる。
「義経記」「平家物語」などからの引用を主体とした、義経入門テキスト本として最適の一冊。これでおおよその一般的な義経像はつかめましょう。史蹟めぐりのガイド本としても便利。ただ、彼の場合はそのほとんどが「伝説」なのですべてを鵜呑みにはできませんが。
★★★
   
義経
(上下)

司馬遼太郎
文芸春秋 文庫 1977
歴史小説界の至宝・司馬遼太郎が描きあげた(暴き立てた?)、みんなの英雄義経の真の姿!いくさバカ、政治能力ゼロ、情緒不安定、女好き、ブラコン。従来のこぎれいな義経像を叩き壊してやる、という意気込みをびしばしと感じます。しかし当時の義経ファンの拒否反応たるやすさまじかったようで話が中途半端なところ(義経都落ち)で尻切れトンボに終わっているのはそのせいか。天下の司馬作品なのだからと声をひそめていましたが本当は私もムカついてた。(笑)まあこの義経も愛嬌のあるカワイイ奴なんだけど…。司馬先生は思い入れのある人物とない人物で描き方に差がありすぎるのが愉快でもあり難点でもあり。ともあれ義経のことはあんまり好きじゃないみたい。
★★
   
源九郎義経
(上下)

邦光史郎
徳間書店/学陽書房 文庫 1980
後半はほぼオーソドックスなみんなの知ってる義経一代記ですが、元服前の遮那王時代が描かれた上巻はオリジナル度が濃く読みごたえがあります。ことに瀬戸内海で水夫見習いとしてコキ使われる義経の姿は目新しい。途中から登場する弁慶がまた出色のキャラ。寡黙で忠実、静のヌードを見てもビクともしない超然としたミステリアスな僧。それでいて、義経に「ずっとそばにいろ」と愛の告白のような命令をされてうれしそうに照れるのがカワイイ。
★★★
   
源義経

長部日出雄
学習研究社 ハードカバー 1982
※富士見書房より文庫として90年に再版
特別書きおろし長篇  義経は現代の長島だ。頼朝は川上に似ている。天才プレーヤーが政治に敗れ去る悲劇の過程を、見事に捉えた鮮烈な義経像。
弁慶は熊野ではなく羽黒出身の僧、など新たな解釈が端々にほどこされた要チェックな義経一代記。しかし真の見どころは巻末付録の著者と尾崎秀樹氏の対談コーナー(学研ハードカバー版のみに収録)。義経というキャラクターについていろいろ語られていて面白いです。義経に似た人物…長島茂雄、太宰治、スサノヲ、石川啄木…?
★★★
   
源義経

永岡慶之助
学陽書房・人物文庫 文庫 1985
源平争乱の時代を華々しく生き、そして散り急いだ悲劇の若武者の生涯!
歴史人物小説シリーズ「人物文庫」の一冊、義経編。義経の人生がわかりやすく描かれています。どちらかというと義経より郎党たちのサイドストーリーに重点が置かれており、伊勢三郎と京のカノジョのエピソードなんか、なかなか濃いです。
★★★
   
生きよ義経

三好京三
新潮社 ハードカバー 1990
※PHP文庫より文庫「源義経」として再版
兄頼朝の密命に従い、腰越から京へ引返した義経は、もう一組の義経主従を結成、別ルートで平泉を目指す。幕府内部をも欺き弁慶と果てたのは誰か?――新解釈で、悲劇の英雄を描き、話題を呼ぶ時代小説!
タイトルの「生きよ義経」は、頼朝の心の叫び。この兄弟は、実は仲がよかった!(らいいのに)と思っていた私には実にうれしい物語です。義経都落ちから頼朝の奥州征伐までを、頼朝、義経、政子や静らのそれぞれのひとり語りの形式で追っています。互いを信じたい、でも…という兄弟の葛藤が全編にわたってひしひしと感じられます。ただ、義経と瓜二つの影武者が登場し、いったいどっちが本物なのかだんだんわからなくなってくるので、オツムの弱い私などはかなり真剣に悩んでしまいました。
★★★★
   
源義経
(シナリオ本)

杉山義法
日本テレビ ハードカバー 1991
源九郎判官義経かくも華麗なる悲劇〜平安末法の世に彗星のごとく現われ散っていった悲劇の武将源義経を描く〜
「年末時代劇スペシャル(日本テレビ系)」として野村宏伸主演で放送された時代劇「源義経」のシナリオ本で、原作は村上元三の「源義経」です。でも村上本のイメージに野村義経はちょっと…。まあいいや。カラーグラビアもあってお得です。
★★★
   
義経の刺客
(上下)

山田智彦
文芸春秋 ハードカバー 1992
源頼朝、義経兄弟の骨肉の争いを描く長篇時代小説
(上巻)源氏の再興に賭ける義経に対して激しい対抗意識と殺意を抱いたのは実の兄・頼朝であった!
(下巻)頼朝への怨念と復讐心から頼朝暗殺の“刺客”に選ばれたのは頼朝の実の娘・朱矢であった!

中盤まではふつうの歴史小説、というよりほとんど司馬遼太郎「義経」。ただしオリジナル女性キャラ多し。彼女らが義経にからんでどんどん子供をつくるのだ。純情で女の子に優しい義経、よくモテます。そして後半、突如舞台がモンゴルに移り一挙にスペクタクルな展開に。どうする義経、どうなる頼朝、どうなってるんだジンギスカン。それにしても頼朝の人物像はボロクソです。たんなるヒクツなすけべ野郎。弟から預かった少女を手ごめにしちゃうわるい奴!
★★★
   
風譚義経

古田十駕
文芸春秋 ハードカバー 2001
悲運の若武者、孤高の矜持。〜悲運の武将・義経が辿った足跡を、平安時代末期の風俗、因習を含めて、克明に描き出した大作。歴史の中の一陣の風、義経の波瀾に満ちた生涯が今、物語となって蘇る。
617ページにも渡る大長編。重厚な文体と壮大なストーリーは読みごたえ充分。義経が純粋でなおかつ賢い美青年なのでうれしい。
★★★★
   
九郎判官

領家高子
講談社 ハードカバー 2001
義経をめぐる清冽な人想いの雅歌!〜幻の人の香、匂やかな男の悲劇を描く大型新人の透明な文体〜
「吉野の弁慶」「西行と頼朝」「太夫黒」「千本桜」「耳裂け鹿」の5編収録。人物たちの細やかな心理描写がせつなく美しい、しっとり情緒的な歴史小説です。私のお気に入りは「西行と頼朝」の章。西行が頼朝と対面し、相克する頼朝義経兄弟の濃密な関係について思いをめぐらせます。
★★★★★
   
残夢 郁朋社 ハードカバー 2002
義経が育てた頼朝の子、梓。血の愛憎の果てに何を見る。――鎌倉時代を舞台に描く歴史群像劇――
すみません…管理人の拙作でございます。第2回中近世文学大賞(2001年)応募作品。文学賞主催の郁朋社から02年5月に出版されました。諸先生の名著とならべて紹介するのは僭越ですがお許しください。鞍馬を出て伊豆の頼朝のもとに立ち寄った少年義経は、殺されそうになっていた兄の子(伊東の姫との子)千鶴を救ってともに奥州に逃げ延びます。梓と名づけられたその少年は義経を慕い、実の父である頼朝を義経の仇と憎み、義経の遺児を育てつつ頼朝暗殺の情念を燃やしますが…。源氏一族の「血」の葛藤と愛憎がテーマ。とはいっても別にドロドロしておらずごくシンプルで読みやすいストーリーだと思います。未熟な点も多々あってお恥ずかしいですが変化球「義経」モノとして試しにご一読いただけたらうれしいです。ちなみにこれを書いた当時と今では私のなかの頼朝観がだいぶ変わってしまってる…。
☆☆☆☆☆(←ご自由に評価を)
   
義経

宮尾登美子
NHK出版 ハードカバー 2004
※新潮文庫より文庫として再版
05年大河「義経」の原作者である宮尾氏の、華麗にして悲劇的な義経の生涯をたどる書き下ろしの一冊。小説のかたちをとっていますが「宮尾本平家物語」からの引用が多く、エッセイ的要素が強いので読みやすく、宮尾氏の義経観がよくわかっておもしろい。人気者ゆえいろいろ言われるけれど義経の「やさしさ」はすばらしいものだ、とのお言葉にはいち義経ファンとしてほろりとさせられました。でもやっぱり何はさておき平家びいきの方だから、源氏(義経はともかく頼朝…)への憎しみが行間からじわぁ〜っと伝わってきます。
★★★
   
天馬、翔ける
(上下)

阿部龍太郎
新潮社 ハードカバー 2004
混迷の時代を苛烈に駆け抜けた義経の物語。義経と後白河法皇との強い結びつきが特徴的。義経主役ながら頼朝サイドもたっぷり描かれてます。ただし…「〜ずら」口調の無神経な田舎女・政子、いつもグチグチ根暗な頼朝、関西弁のセクハラおやじ後白河法皇…とにかくみなさん性格悪っ!登場人物の心理描写がえぐすぎてヘコみます。そんななか主人公の義経はやや情緒不安定ながら比較的ノーマルな好青年。そんな彼に寄りそう静御前もはんなり京言葉でたまらなくキュート。心洗われるかわいいカップルです。しかし義経が奥州に落ち延びてほっと一息、というところで終了。そんなあ!あとちょっとだけなんだから最期まで書いてよ〜!
★★★
   
仮面の義経
迦楼羅の面に秘められた謎

伊井 圭
イーグルパブリシング 新書 2004
五条大橋で弁慶が出会った「遮那王」はなぜか迦楼羅の仮面で素顔を隠し、ただひたすらに平家打倒の宿願に燃えていた。彼に仕えるようになった弁慶は面をつけている時と外している時の義経の様子が微妙に異なることに気づき…。一人二役、二人一役など、登場人物たちの設定にアッと驚く仕掛けがあって興味津々で最後まで読めます。弁慶は狂言回し的存在で、幾重にも張りめぐらされた謎に翻弄されます。逆にすべてを知る男として常陸坊海尊が登場。キーパーソンは藤原忠衡と喜三太です。義経の正体については…正直ちょっと肩透かしかな…。
★★★
   
義経、世界制覇の夢

豊田孝次
新風舎 ハードカバー 2005
歴史の常識をくつがえす新しい義経像・命を棄てて義経の考えを満天下に訴えた静御前の叫びを聞け!
せっ…世界制覇っすか?そりゃすごい。表紙を飾る“実写”静御前(誰なんだろう)もインパクト大。静御前が鶴岡八幡宮で歌った唄は「大陸に渡って力をつけこの国を世直しする!」という義経の壮大な夢を代弁したものだった…というぶっとび設定。義経と大陸=ジンギスカンを結ぶ大胆(強引?)仮説がふんだんに盛り込まれています。「義経は平泉で死んだ」派の私には正直どうでもいい仮説ですが、義経と静の純粋でせつないラブストーリーが軸になっているので読みやすいです。
★★★
   
兄者
〜義経の血霊〜

西川右近
だいわ文庫 文庫 2007
頼朝・静・義経、そしてフビライ!血脈が織りなす宿命の歴史ドラマ!
源平合戦只中の日本とチンギス・ハーンの活躍するモンゴル、ふたつの国の歴史と人間ドラマが同時進行で描かれる時代小説。義経とチンギスは別人ですが、優しい性格や容姿などキャラクターはうりふたつ。ただ違うのは「血」への思い。血を信じながら血族(兄)に憎まれる義経、血のつながらない家族と心通わせ助け合うチンギス。結論としては血なんかにこだわるな!ってことですが、それでも、義経とチンギス、どちらの生き方もさわやかで好ましいものとして描かれています。そのぶん頼朝がドス黒い。また静御前のひたむきな愛は泣かせます。源平合戦から元寇までいっちゃうスケールの大きな物語ですが、その壮大な世界で己の愛を貫いたひとりの女性のラブストーリーともいえるでしょう。
★★★
   
歴史小説(源平時代メイン)
タイトル
著者
出版社 形態 発表年(初出)
新平家物語
(全16巻)

吉川英治
講談社 文庫 1950〜57
1972年NHK大河ドラマ化
国民的作家・吉川英治氏が描き上げた源平一大絵巻。源氏、平氏、数多の人々のドラマをひとつの流れに集結させた壮大な時代ロマンです。しっとりと叙情あふれる筆致のためか殺伐とした乱世が舞台でありながら読みながらせつなくも優しい気持になれます。どちらかというと平家寄りの視点で、清盛の人物像も深く掘り下げられています。義経は純粋で優しくてちょっと色黒のキュートなおチビちゃん。物語後半の主役であり、作者の愛情がもっとも注がれている人物でもあります。反面、物語序盤はそれなりにフォローもされていた頼朝がどんどん冷たい救いようのない人間になってゆく…。
★★★★
   
平泉落日

小野寺公二
光文社 文庫 1968
※光文社時代小説文庫として1992年に再版
奥州一帯に強大な勢力と文化を誇った藤原秀衝。頼朝に追われた義経を匿ったため、鎌倉幕府の追及厳しく、屈服か、決戦か。秀衝の死後、次代を担うべき嫡子泰衝と、国衝・忠衝ら一門は足なみも揃わぬまま、怒涛のごとき幕府軍を迎え、熾烈な戦いを繰り広げる。―独自の文化を築いた平泉のがわから初めて書かれた藤原氏滅亡の謎!’93年下期NHK大河ドラマの世界。
ごめんなさい未読…
   
子午線の祀り

木下順二
河出書房 文庫 1979
壇ノ浦合戦に臨む平知盛の心理をメインに描いた戯曲。
ごめんなさい未読…
   
平泉最後の日
〜義経の自害〜

安部宗男
宝文社 ソフトカバー 1990
義経をめぐる平泉の興亡の物語。
ごめんなさい未読…
怨念の源平興亡
〜小説日本通史
<鎌倉開幕>〜

邦光史郎
祥伝社 文庫 1994
楽しみながら身につく、国民の歴史/なぜ平清盛は絢爛に生き、醜悪に死したか?
三百年の間、軍隊を持たなかった平安時代。だが、平安とは名ばかりで、海賊や盗賊の横行によって王朝は衰退の一途を辿っていた。保元元年七月、戦乱の火の手が上がった。源氏は一族の命運をこの戦に賭けたが、続く平治の乱に敗れ壊滅状態に陥った。栄華を極める平家をよそに、二十年の雌伏の末に再開される、儚くも華麗な源平合戦絵巻の裏面史を描く!

ごめんなさい未読…
   
炎立つ
(第5巻)

高橋克彦
講談社 文庫 1994
1993年NHK大河ドラマ化
朝廷に背き、蝦夷の側に身を投じて戦った父藤原経清、叔父平永衝の名を継いだ清衝は源義家の力を借りて乱を治め、藤原に姓を改めて平泉に黄金の都を築いた。堂塔を建て勅使を迎えて栄華を誇る孫の秀衝の許に源氏との宿縁が三たび影を落とす。壮大なスケールで描く、傑作歴史小説ついに完結!
義経が出てくるのは第5巻のみ。通常大バカモノとされがちな四代目泰衝を、実は思慮深い高潔な人物として捉え直してあります。でも、悪いけど私はやっぱり実際の彼はおバカというか凡庸というか、良くも悪くもふつうの人だったと思う。
★★
   
平家物語
(新書版全6巻)
(文庫版全3巻)

森村誠一
小学館 新書・文庫 1994〜96
ノンストップ時代ハードアクションの最高傑作・決定版
吉川栄治「新平家」が女性的であるならば、こちらはダイナミックな男性的歴史小説。ワクワクしながらグイグイ読めます。各キャラクター皆かっこいいですが、とりわけ義経は強く優しく男前、そのうえとっても賢いスーパーヒーロー。それと対をなすように、頼朝は一貫してヒクツでイジワルなダメ兄貴。そんな彼も、最後、権力の頂点にたったひとり立った時、やっとおのれの孤独と義経のありがたさを遅まきながら知ることになる。あわれです。
★★★★
  
夢熊野

紀和鏡
集英社 ハードカバー 2002
熊野を照らす日輪のように輝き続けた「丹鶴姫」 多くの宿命に翻弄されたその謎の生涯。源平の時代に光をあてる書き下ろし歴史長編。
ごめんなさい未読…   
平家
(上・中・下)

池宮彰一郎
角川書店 ハードカバー・文庫 2002〜03
巨悪 平清盛こそ救国の英雄  強固な藤原官僚体制に敢然と挑み雄大な国家構想の実現を図る改革者 池宮史観がまったく新しい清盛像を刻む渾身の大作
日本経済新聞に連載されていた源平争乱時代ロマン。
ごめんなさい未読…
   
宮尾本平家物語
(全4巻)

宮尾登美子
朝日新聞社 ハードカバー 1999〜2003
2005年NHK大河ドラマ「義経」原作
女性の視点から描き出された、はんなりと格調高い源平歴史絵巻。名もなき数多の女性たちが宮尾氏の手により名を与えられ命を吹き込まれ、生き生きと活躍しています。でも私は女たちの湿っぽいドラマより男たちの骨太な生きざまを見たいのでイマイチ興味がわかず、はしょり読みしかしてません。すみません。あくまでも平家がメインなので義経はチョイとしか出てきませんが純粋でさわやかなイイヤツです。権力抗争の只中にありながら各キャラクターにあまりどす黒さが感じられず、軍記物というより王朝文学の風合いが漂う雅な『平家物語』。
★★
   
歴史小説(義経周辺人物メイン)
タイトル
著者
出版社 形態 発表年(初出)
源頼朝
(全2巻)

吉川英治
講談社 文庫 1940
「新平家物語」の準備段階的小説。大長編は読むのがタイヘン、という方にはこちらがおすすめ。ただし、「いまから盛り上がるのに!」というところで終わってしまいます(都落ちあたり)。あと、重要キャラであるはずの弁慶が出てきません。かわりに吉次が出ずっぱり。義経は純で無欲で一途、かわいいの何のって。ごうつく吉次もメロメロです。源頼朝というタイトルなのに、頼朝よりも義経のほうに重きが置かれているような気がしてならない。
★★★★
   
源頼朝
物語と史蹟を
訪ねて

永岡慶之助
成美堂 ソフトカバー 1979
頼朝の生涯を知るための入門的小説。旗揚げに至るまでのドラマにかなりのページが割かれています。逆にそれ以降の鎌倉幕府創建のいきさつなどはちょっとダイジェスト的。しかも頼朝の物語と銘打ちつつもその臨終まで描かず、義経が死んだ時点(奥州討伐)で終了。その後も御家人衆や朝廷とのゴタゴタとかいろいろあるのに。史蹟めぐりにはとても便利な一冊です。
★★★
 
武蔵坊弁慶
(全10巻)

富田常雄
講談社 文庫 1951〜55
NHK水曜時代劇化(1986年)
※1986年にソフトカバー版も出版
大長編の時代劇ですが、弁慶ファミリーを核として物語が展開するため流れが把握しやすい。何といっても主役は弁慶、スーパーマンばりの大活躍、しかもモテモテ。本人は恋人の玉虫ひとすじですが。弁慶が出張るぶん義経がちょっと、いやかなり情けない。でも守られる無力な義経というのもいとおしい。弁慶の一途な忠愛も泣かせます。そしてちょっと注目ポイントは、嫌われ者「寄生虫」行家が、なぜだか妙にカッコよく好人物に描かれているところ。冷静で潔くてとっても頼れる叔父ちゃんだよ!(信じられない)
★★★★
   
武蔵坊弁慶
(全4巻)

今東光
学習研究社 ハードカバー 1977〜78
※徳間書店より文庫版も出版
ごめんなさい未読…
  
弁慶

村上睦郎
新人物往来社 ハードカバー 1982
ごめんなさい未読…   
弁慶
物語と史蹟を
訪ねて

水野泰治
成美堂 ソフトカバー 1986
弁慶の生涯が、義経記や伝承などをベースに、わかりやすい物語にしてあります。弁慶ゆかりの土地や寺社なども多数紹介されており、史蹟めぐりがしたくなる一冊です。
★★★★
   
弁慶罷り通る

佐竹申伍
光風社 ソフトカバー 1986
ごめんなさい未読…   
闇の弁慶
〜花の下にて
春死なむ〜

中津文彦
祥伝社
ノン・ポシェット文庫
文庫 1990
弁慶が、命の恩人である謎の人物「闇の殿」の導きに従い、義経を擁護して源氏の再興を図るべく暗躍する物語。さてその「闇の殿」とは誰でしょう?あの有名な人ですよー。
★★★
   
後白河院

井上靖
新潮社 文庫 1972
 ごめんなさい未読… 
義経の母

安西篤子
集英社 文庫 1986
義経の母・常盤御前の半生を描いた物語。ふつうの少女だった常盤がその美貌のために時代の奔流の只中に巻き込まれつつも懸命に生き抜いていくさまが胸を打ちます。そんな彼女を見守り続ける幼馴染みの弥平太もまたけなげ。そして清盛がイイ男!女の一代記にありがちなグチっぽさもなく、読後感が何ともいえずすがすがしい。ただし義経の出番はあんまりないです。
★★★
   
陸奥黄金街道
〜小説金売り吉次〜

三好京三
学陽書房・人物文庫 文庫 1991
ごめんなさい未読…   
もののふの大地
〜義経と河越一族〜

堀和久
新人物往来社 ハードカバー 1992
ごめんなさい未読…   
源義経の妻

藪景三
新人物往来社 ハードカバー 1993
ごめんなさい未読…   
蒲桜爛漫
〜頼朝の弟・義経の兄
源範頼〜

堀和久
新人物往来社 ハードカバー 1999
義経の異母兄・源範頼を主人公にした珍しい小説。性格善良・頭脳明晰・とびきりの美貌etc、徹底的に範頼が美化されてます。対する義経はまったくの引き立て役。性悪でバカでブサイク。バカな弟義経に足を引っ張られ冷たい兄頼朝には信じてもらえず、ああなんてかわいそうな範頼!というお話。範頼大好き!義経大嫌い!という方には文句なくおすすめ、読んでせいぜい悦に入ってください。(トゲトゲしいなあ)
   
源義経と静御前

〜源平合戦の華
若き勇者と京の舞姫〜

中島道子
PHP文庫 文庫 2004
『源義経と静御前』という連名タイトルではありますが前半3分の2くらいまで静は一切登場せず、オーソドックスな義経の生い立ちが語られます。静御前の可憐で一途な女心、またそれに共感する人々の思いがストーリーの軸となる後半は、静と大姫との間に生まれたわずかな心の交流、寂光院での建礼門院と静のニアミスなど、派手ではないけれど繊細な筆致で丁寧に描かれており、読後感がとても優しい作品です。
★★★
   
霊鬼頼朝

高橋直樹
文芸春秋 ハードカバー・文庫 2004
義経・頼家、実朝、公暁…源氏の血が滅びてゆく  武者どもの夢と、壇ノ浦、平泉、鶴岡八幡宮の悲劇
「無明の将軍」「平家の封印」「奥羽の風塵」「源太の産衣」の四作収録。メインタイトルとはうらはらに頼朝はあまり本編に出てこず、義経や頼家・実朝など頼朝の周辺人物が主役です。源氏一族の運命に不吉な影を落とす頼朝という人物の不気味さ、そしてその悲しい生きざまが、義経らの生涯を通して描かれています。義経は粗野で軽薄な言動の裏に深い悲しみを背負った純粋な青年という役回りで、「平家の封印」と「奥羽の風塵」に登場します。
★★★
   
義経の龍虎

風野真知雄
新人物往来社 ハードカバー 2004
藤原秀衡の命で奥州から義経につき従った佐藤継信・忠信兄弟。一ノ谷、屋島、壇ノ浦合戦の義経軍大勝利は、佐藤兄弟による騎馬戦法にあった。佐藤兄弟を通して描く義経の悲劇と人間像!
只今読書中…
   
源家の海

入江康範
廣済堂出版 ハードカバー 2005
義経は操り人形だった!義経をかくまう藤原秀衝と西行の目的は?そして、奥州十七万騎を動かして、頼朝を潰そうと企む朝廷の主。傀儡人形・義経の、最後の戦いとその真実!
権謀うずまく源平争乱の裏側でひそかに糸を引いていたのは西行だった!という大胆な設定の小説。奥州の藤原秀衝と肝胆相照らす仲の西行法師は、きたる源平争乱に備えて鞍馬の遮那王(義経)に「僧正ヶ谷のお師匠さま」として武術を教え、奥州に導きます。やがて戦場で活躍するも兄に追われる身となってふたたび奥州に逃れてきた義経と奥州の地を守るため、秀衝と西行はある策をめぐらせる…。西行の残したさまざまな歌のなかに実は義経へのひそかな哀惜の思いが込められている、という斬新な解釈にはおどろかされます。
★★★
   
義経と郷姫

〜悲恋柚香菊
河越御前物語〜

篠 綾子
角川書店 ハードカバー 2005
知られざる義経の正妻の愛と生涯。清新な着眼と端麗な才筆から、新しい歴史ロマンが誕生した!/頼朝の政略によって畠山重忠との初恋を奪われ、義経の正妻となった郷姫は、運命の変転に翻弄されつつも、波乱の人生を自らの節義を求めて、気高く美しく生き抜いていく。源平の戦いと頼朝・義経兄弟の争いの渦に巻き込まれた、知られざる歴史のヒロインを、新鋭作家が描く書下ろし長編小説
只今読書中…   
浄土の帝

安部龍太郎
角川書店 ハードカバー・文庫 2005
後白河院は、大天狗だったのか?濁世に、心の王たらんとした帝がいた!/この世を浄土にしたかった帝。帝の権威さえ揺らいだ末法の世。自らの存在理由を、後白河帝は民衆とのつながりに求めた。
只今読書中…   
七人の弁慶

森 詠
双葉社 ハードカバー 2005
新説義経弁慶伝・力を合わせて平家を倒せ!/弁慶は、なぜ七つ道具を背負っていたのか?そして、なぜ武士でもない弁慶が、ひたすら義経に忠義を尽くし、命がけの戦いに身を投じたのか?新しい歴史観で解き明かす、弁慶の正体と義経の真実!
弁慶の七つ道具は職能民衆たちの象徴であり、弁慶はそんな彼らを束ねる頭領だった!傀儡師・浄慶(吹き矢)、土工の大慶(槌)、葦原一族の尚慶(薙鎌)、渡辺党水軍の龍慶(刺股)、熊野水軍の湛慶(熊手)、杣一族の仙慶(斧)…武家でも僧兵でもない第三の武力軍団として七人の「弁慶」たちが朝廷を守るべく暗躍!その一方、弁慶は美しく心優しい主義経に不穏な感情を抱いてしまいモンモンと悩む。でも大丈夫!義経は実は…なのでした。このふたりがイイカンジになり弁慶たちがようやく活躍しはじめる一ノ谷で物語が終わってしまうのが残念。と思ってたら続編が出てた!↓
★★★
   
  続 七人の弁慶

森 詠
双葉社   ハードカバー  2006
義経に仕え、七つの道具で知られた弁慶。しかし、この弁慶、実は七つの職能集団の代表者だった!『七人の弁慶』の続編にして完結編。一ノ谷の決戦以降の七人の弁慶衆、義経の活躍をダイナミックに描く歴史ロマン。
ごめんなさい未読…  
義経を討て

童門冬二
潮出版社 ハードカバー 2005
義経…そなたは最後まで美しく舞い続けた蝸牛だった。――兄弟相剋を仕掛けた後白河法皇の深謀
頼朝と義経の兄弟仲を裂いた張本人・後白河法皇の「素顔」に迫る!小説というより実用書のようなシンプルな内容で、「日本一の大天狗」の政治的タテマエ、その裏にある情緒的なホンネについてわかりやすい分析がなされています。シャイで無垢で「柔らかい心」をもつ義経に安らぎとシンパシーを覚えていた法皇は、政治家として彼を冷徹に切り捨てつつも、一個人としては深く愛していた…。古きよき世とともに滅びた同志として、法皇&義経は意外に名コンビかもしれません。
★★★
   
歴史パロディ・ファンタジー小説
タイトル
著者
出版社 形態 発表年(初出)
義経伝説

橋本治
河出書房 ソフトカバー 1991
戯曲タッチのお笑い義経記。義経を田中角栄になぞらえたパロディですが、その辺の政治事情を知らない私が読んでも十分おもしろい。弁慶・行家・静・九条兼実という妙なメンツで麻雀やってる。寿司屋でバイトの源スシツネ、出前迅速八艘飛びだ!
★★★★
   
義経
YOSHITSUNE

中島渉
マガジンハウス ソフトカバー 1993
 なぜ、薄幸のヒーロー・義経は東京サミットの夜の新宿に甦ったのか。――800年の時空を疾駆して、世紀末に衝撃の嵐を呼ぶ新義経伝説!/義経の愛と苦悩と怨念に、大胆な着想で迫るエンターテイメント快作!
1996年・東京サミットの晩にタイムスリップした義経は、自衛隊ヘリが飛び交う中、前時代からの宿敵ドルイド(西欧魔術師)と因縁の対決に臨む!SF映画を思わせる映像的な内容で、快調に読めます。正義の味方・悲劇のヒーロー義経がかっこいいぞ!
★★★★
  
神州魔風伝

佐江衆一
講談社 文庫 1994
源義経最期の時、炎の持仏堂に魔風のごとき七匹の天狗が舞い降りた。それから四百年。天下太平の徳川治世に、兇・禍・怨・恨・謀・邪・悪・乱の八片の魔境が集う…。大乱の予感に息をのむ傑作長編時代小説。
ごめんなさい未読…
   
偽史日本伝

清水義範
集英社 文庫 1997
※ハードカバー版もあり
“源義経”と呼ばれた美しい若武者の正体は、実は町のチンピラ、本物の義経はなんと弁慶その人であった!(「苦労判官大変記」)
珍解釈の日本史パロディが全部で14編収められています。清水義範氏の小説・エッセイはよく歴史ネタが登場するので、他作品も要チェック。
★★★★
   
遮那王伝説

三田誠広
実業之日本社 ハードカバー 1998
両性具有の美少年(美少女?)遮那王と、そんな彼(彼女?)に惚れ込んだ弁慶が、日本各地を旅していろんな神仏妖怪、あるいは妖怪みたいな人間(清盛、頼朝、後白河)に会い、おのれが何者であるかを探求してゆく物語。民俗学的キーワードがパズルのように義経物語に組み込まれていて興味深い。ストーリーのはしばしにおふざけもあって(何の脈絡もなくパフィーや布袋寅泰が出てくる)、コミカルでミステリアスでロマンチックでもあるこの物語、おもしろくて好きなのですが、大っぴらに人に薦められません。エロいので。遮那王が行く先々でそらもういろんな目に遭う。
★★★★★
   
陰陽道・
転生☆安倍晴明
(全3巻)

谷恒生
徳間書店 文庫 2000
陰陽師・安倍晴明が時を越え鞍馬の天狗に身をやつし、九郎義経を育て導く物語。義経は健気でかっこいいし、頼朝はクールでしぶい。満足です。まあそれはいいんですが、ストーリーの随所に司馬遼太郎「義経」とそっくりな部分が見受けられるのは大丈夫なんでしょうか。もしや司馬作品はすでに「古典」「歴史的事実」としてテキスト化されてて他作品に引用自由なの?
★★★★
   
黒塚
KUROZUKA

夢枕獏
集英社 ハードカバー 2000
※コミック版・文庫版もあり
謡曲「黒塚」をモチーフにした、義経と弁慶と安達ヶ原の美女の物語。非業の死を遂げた義経=クロウが転生し、時を越えて旅をし、その果てに知る真実は…。
以下ネタバレ、注意!…義経と安達ヶ原の女が恋仲になりますが、ひそかに女を想っていた弁慶が嫉妬に駆られて義経の首を斬ってしまう…!なにすんねん弁慶。彼には何はさておき義経至上主義であってほしいのでなんか腹立つ。だから、物語自体は面白かったけど評価は低め。
★★
   
五条霊戦記
(ノベライズ)

倉橋緑
角川書店 ハードカバー 2000
2000年公開映画「五条霊戦記」小説版
小説を映画化、ならともかく、映画を小説化(ノベライズ)なんていうのは余計なお世話の場合が多かったりして。この小説は、映画を観てその世界観が今ひとつわからなかった人が解説書として読むのに最適です。ともあれまずは映画を観ておかないことにはどうにもならない。
★★★
   
陰陽師・鬼一法眼
(現在5巻目)

藤木稟
光文社
新書カッパノベルズ
新書 2000〜
※コミック版・文庫版もあり
鎌倉幕府を呪い跳梁跋扈する怨霊牛若丸、それを阻止するべく戦う怜悧な陰陽師・鬼一法眼。ひたすらびびるばかりで何もしない頼朝が情けない。泣きボクロがチャーミングな怨霊牛若ちゃんは頼朝憎しの怨念強く、政子にセクハラするなどいかにもワルな感じですが、同志・後白河の非情さに尻込みしたり、愛しい静御前と再会して涙したり、結局ピュアな甘ちゃんキャラです。
★★★
   
歴史パロディ
英雄よみがえる!
(日本篇)

ARISAWA KEN
学生社 ソフトカバー 2003
抱腹絶倒!全く新しいスタイルの登場!!笑いあり涙あり、眼からウロコのインターネットや携帯サイトで超人気の歴史パロディ
インターネットで大好評を博した歴史人物のコントパロディが一冊の本に!「日本篇」は源義経、織田信長、徳川家康、坂本竜馬を収録。歴史上の英雄たちがひたすらすっとぼけ、みんなにツッこまれたりボケ返されたりするうちにアレヨアレヨと歴史が動いていってしまいます。ほよよ〜んとした脱力系トークは爆笑必至。登場人物みんな情けなくてお人よしでかわいいの何のって。義経なんて皆に「よっしー」って呼ばれてる…。笑って笑って最後にほろりと泣かせる演出はおみごと。「西洋篇」も出ており、こちらのメンツはナポレオン、ジャンヌ・ダルク、ケネディ、アレクサンダー大王。いずれも爆笑&感動のおすすめ本です。
★★★★★
   
 
歴史シミュレーション小説
タイトル
著者
出版社 形態 発表年(初出)
大逆説!義経が翔く
(上下)

志茂田景樹
光文社
新書カッパノベルズ
新書 1991
義経が頼朝に堂々反旗をひるがえし平家や奥州藤原氏と手を組んで鎌倉勢を叩きつぶす!痛快逆転劇です。味方になった平知盛・教経・巴御前の頼もしいこと。頼朝の情けない最期も印象的。でも、鎌倉を滅ぼしたはいいけれど、その後の義経勢の政治的ビジョンというものがまったく描かれてないんですが…。どうする気なんだろう?まあいいけど。
★★★★
   
義経の野望
〜異説「藤原四代記」〜

楠木誠一郎
二見WAi-WAi文庫 文庫 1992
 ごめんなさい未読… 
消えた義経

中津文彦
PHP文庫 文庫 1994
※ハードカバー版もあり
悲願の平家打倒を果たした源頼朝と義経であったが、歴史の宿命は非情にも二人の間を引き裂いた。そして義経追討の命が下った途端、義経は忽然と姿を消す。鎌倉が放った密偵の探索が進むにつれて、物語の舞台は京都、鎌倉から奥州平泉、そして遠く中国大陸の靺鞨国にまで及ぶ。―義経が平泉を脱出して北へ向かったという北行伝説の謎を大胆に推理した、著者渾身の長編歴史ミステリー。
神出鬼没の逃避行を続ける義経一行とそれを追う鎌倉勢の、それぞれの葛藤をスリリングに綴った物語。「生きよ義経」(三好京三・著)同様、やっぱりそっくりの義経影武者が出てきて混乱させられます。とりあえず義経は平泉を逃れてさらに北へ逃げ延びますが、その目的は…。そして結果は…。あああ。
★★★
   
妖説義経征戦記

平戸夬
KKロングセラーズ 新書 1997
@義経が実は女A義経が奥州勢を率いて鎌倉を倒す――という「架空」二本柱で構成されたシミュレーション小説。母常盤のはからいで父義朝の仇を討つため男として育てられた九郎義経。鞍馬の稚児になり弁慶を悩殺し兄頼朝と対面し…それでも女だとばれません。静御前と結ばれてもばれません。いくら何でもそりゃおかしかろう。腑に落ちない点は多いけど、最後、勝利者となったのちは、女の子らしく権力なんぞに見向きもせず、藤原忠衝とラブラブになってめでたしめでたし。よ、よかったね…?
★★
   
義経の征旗
(上下)

中津文彦
光文社 文庫 1998〜99
もしも藤原秀衝が一念発起、鎌倉に総攻撃をしかけていたら…? 頼朝、討死!義仲、惨敗!義経、征夷大将軍に! と、いやが上にも盛り上がるのに、オチは結局…春の夜の何とやら。残念…
★★★
   
歴史ミステリー小説
タイトル
著者
出版社 形態 発表年(初出)
成吉思汗の秘密

高木彬光
角川書店/光文社 文庫 1973
歴史ミステリーの傑作として名高い小説。義経=ジンギスカン説を名探偵神津恭介が推理する!アイヌ民話からモンゴル伝承、人格分析など縦横無尽の謎解きに圧倒されます。特に最後の「なすよしもがな…」解釈にはやられた。でも…私は義経には断じてジンギスカンになってほしくない派なので、正直、読むのに熱が入らなかった。
★★
   
義経埋宝伝説の謎を追え!

荒巻義雄
徳間書店 文庫 1985
※徳間書店より1992年に再版
ごめんなさい未読…
   
義経幻殺録

井沢元彦
講談社・角川書店 文庫 1990
舞台は大正時代。義経はジンギスカン…ではなく中国清朝の始祖となった?という異説の真偽を探偵気取りの「芥川龍之介」が解き明かす。芥川好きでもある私としてはうれしくて笑いがとまりません。あっストーリーもおもしろいですよ(←ついでのように言うな)。
★★★
   
義経はここにいる

井沢元彦
講談社・徳間書店 文庫 1992
舞台は現代。義経伝説になぞらえた殺人事件が起こります。宮沢賢治がキーワードとしてちょこっと顔見せ。殺人事件の推理と平行して、「義経北行(生存)説」の真偽も緻密に追究されます。
★★★
   
「義経伝説」空白の殺人

中津文彦
双葉文庫 文庫 1993
ごめんなさい未読…   
ライトノベル(ジュニア小説)
タイトル
著者
出版社 形態 発表年(初出)

〜幻夢義経記〜

武上純希
角川スニーカー文庫 文庫 1992
奥州にて源氏再興の時を待つ義経に迫る陰陽師鬼一法眼の邪悪な魔の手!それを救うべく現れる美少女・静!近年人気のオカルティック歴史モノの先鞭ともいえる一作です。かっこいい正統派ヒーロー義経とミステリアスで可憐な静のロマンスにうっとり。一方義経を取り巻く郎党衆はギャグ担当。とくに弁慶…義経へのせつない片思い(うわぁ)にやきもきキュンキュンするさまはかわいいやらブキミやら。
★★★
   
魔剣伝
〜牛若丸異聞〜

流星香
新潮ファンタジーノベル・シリーズ 文庫 1992
若き牛若丸が受け継ぎし「黄金の太刀」。血を求め慟哭を呼び世を乱す、「魔剣」であった。
人に寄生して心身を憎悪で満たし、破壊を招き、悲哀と嘆きを生むという伝説の魔剣をめぐる伝記歴史ファンタジー。ピュアで生意気でかわいいようでかわいくない牛若丸の複雑なキャラクターや、決してロマン一点張りではないクールで生臭いストーリー展開は、司馬遼太郎「義経」を彷彿とさせます(鞍馬寺でイジメを受けるあたりなんかそっくり)。ライトノベルというより本格派歴史小説の印象。結末の後味の悪さにはちょっぴりヘコみます。
★★
   
千の夢を見る
〜義経転生幻想記〜

倉本由布
集英社コバルト文庫 文庫 1993
奥州時代の義経と、その恋人だった少女が現代に転生し、記憶を取り戻してゆく物語。というとものものしそうだけどそこはジュニア小説、ライトタッチでとっつきやすいです。時代物というよりもロマンチック&ファンタジックな現代恋愛劇として楽しんだほうがいいかも。
★★
   
華焔
〜義経の妻〜

倉本由布
集英社コバルト文庫 文庫 1993
義経の正妻である河越氏の娘・葵の視点で描かれた義経の物語。舞台は源平時代ですが登場人物らはれっきとした現代人(感覚)。義経は気さくな好青年でとてもいい奴。でも葵は義経の従者の少年・鬼王に心惹かれて…。歴史的背景が丁寧に描かれていますが、それよりもヒロイン葵の、迷いつつもおのれの人生をまっすぐ歩んでゆこうとするけなげさがストーリーの引力になっています。
★★★
  
風さやぐ
〜弓月と遮那王〜

小山真弓
集英社コバルト文庫 文庫 1997
鞍馬の遮那王が、鬼の血を引く美少年弓月と出会い友情をはぐくんでゆく物語。平安末期の幻想的な世界観にうっとり、…したいのはやまやまなんですが完全にBLモードなので読んでて終始気恥ずかしい。遮那王が鞍馬を出ていざ奥州へ!と盛り上がりかけたところで話が終わっちゃうし。
★★
   
姫神さまに願いを
〜夢路の剣〜

藤原眞莉
集英社コバルト文庫 文庫 2000
…いろんな時代を旅する「姫神さま」とやらのシリーズなんでしょうか?(この一冊しか読んでないのでわからない)ともかくその主人公が源平時代にやってきて頼朝義経兄弟の確執に介入してくる物語。ニヒルで不良っぽい義経のキャラは何だか薄っぺらだし、天然ほわわ〜んとした「いいひと」頼朝なんて頼朝じゃねえ!キモチワルイ。ストーリー云々よりも各キャラクターの設定がどうしてもキツかった(=好みじゃなかった)ので…ごめん、パス。
   
源平伝NEO
(0〜2巻)

あかほりさとる
角川スニーカー文庫 文庫 1998〜
源平キャラを現代高校生に置き換えての学園サイキックバトル! ライトでチープなこのノリを楽しむには、この原作小説よりもマンガ版のほうがおすすめ。売れっ子作家あかほり先生独特のバカっぽい文章(わざとだろうけど)は、個人的にちょっとノレない。でも世界観の設定は好き。
★★
   
五条霊戦記
〜天挑む鬼〜

古屋葉月
角川ティーンズルビー文庫 文庫 2000
2000年公開映画「五条霊戦記」のジュニア小説版ノベライズ。とにかくまずは映画を観て、映画と微妙に設定やキャラクター像がちがってるのを楽しみましょう。たとえば映画では最後の最後まで喋らない芥子丸という影武者の少年が、この小説ではのっけからたくさん喋ってくれます。
★★
   
花雪小雪
〜裸足の舞姫〜

佐藤ちあき
集英社コバルト文庫 文庫 2002
はねかえり舞姫・静と勇将・義経のすれ違う心の行方は…。
気の強いはねっかえり娘・静が都で出会った「やな奴」義経は、実は幼くして死去した本物の義経の替え玉で…。設定にひねりがあってストーリーもテンポよく、きらびやかな歴史恋愛モノとして楽しめるんじゃないでしょうか。ケンカしつつ惹かれてゆくというまだるっこしい学園ラブコメ的展開は個人的にあんまり好きじゃないんですが。義経と静はコナンとラナのように出会った時からごくナチュラルに惹かれ合っててほしい。
★★
   
陰陽師 九郎判官

田中啓文
集英社コバルト文庫 文庫 2003
悲運の美将・源義経は、希代の陰陽師だった!?
歴史の波に翻弄される純情美青年・九郎義経は、金髪碧眼の謎の美女・馬李阿(まりあ)の導きにより、己が安倍晴明の血を引く陰陽の能力者であることを知る。そんな義経に次々と襲いかかるオカルティックな事件!異国の封魔師・静(本名ディアナ・サイレンス)の義経への一途な純愛がかわいらしい、ちょっとガラ悪いけど。臨場感あふれる描写、個性的なキャラクター勢が魅力的で本格派歴史ファンタジーの世界を堪能できます。お話が壇ノ浦までで終了してしまっているのがもったいない。
★★★
  
ゆめのつるぎ
〜少年源頼朝の巻〜

若木未生
集英社コバルト文庫 文庫 2005
13歳の源頼朝は平治の乱で初陣に臨んでいた。しかし心は戦にあらず。33年後に鎌倉幕府を開くことなど知る由もなく、自分の将来についてくよくよと悩んでいる。〜中略〜戦乱の世に我知らず身を投じていく少年の運命やいかに?若木流新感覚源平絵巻、初見参!
ごめんなさい未読…
(※作中に義経はまったく出てこないようです)
   
義経伝説幽霊事件
“京都探偵局”

風見潤
講談社X文庫ティーンズハート 文庫 2005
人気シリーズ「京都探偵局」“幽霊事件”シリーズの19作目。主人公・名探偵水谷麻衣子の後輩が殺人容疑をかけられた!真犯人の足取りはなぜか源義経の逃避行ルートと一致していて…。義経をめぐる伝説が謎解きの重要キーとなっており、神戸(一ノ谷)や奈良の吉野山、安宅、平泉など義経ゆかりの地が次々と出てくるのでちょっとした旅情ミステリの雰囲気も楽しめます。
★★★
   
 
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