エッセイ・研究
九郎義経およびその時代に関するエッセイ・研究書をご紹介します。

基本的に発表年の古いものから順にならべています。
■色の文字はオビや表紙、裏表紙などに載っている内容紹介文。
また★マークは管理人シャナリン独断の評価。
★★★★★(お気に入り)/★★★★(好き)/★★★(なかなか)/★★(う〜ん)/★(ごめんパス)
個人的にオススメの作品は→
が目印!

九郎義経メイン
源平時代・源平人物メイン
歴史総合

九郎義経メイン
タイトル
著者
出版社 形態 発表年(初出)
義経伝

黒板勝美
中央公論社 文庫 1939
大正三年に記された「武士道の美の原点」としての義経伝記。義経へのあふれんばかりの賛美と同情がひしひしと感じられる文章は判官びいきには心地よいことこの上なし。でもあくまでも義経を理想の武士像と見なす目的のため、やや都合のいい解釈もほどこされているような…。もっぱら義経弁護側から見た源平時代論といえましょう。
★★★★
   
義経は生きていた
〜義高(静の子)も由比ガ浜で
殺されていなかった〜

佐々木勝三
東北社 ハードカバー 1957
義経は衣川で死んではいないという仮説を、東北地方の伝承をもとにつぶさに解明。と、これだけならよく知れた義経生存説ですが、この書の目玉は、義経のみならず義経と静の子も由比ガ浜で殺されずひそかに救われて佐々木高綱の子義高として育てられた、というあまりメジャーでない説の研究。信憑性はともかくロマンを掻き立てられる説なので、不肖ながら拙作「残夢」に使わせていただきました。
★★★
  
義経の周囲

大佛次郎
徳間書店 文庫 1966
廃園/義経地獄破/短く華やか/復活/海尊/弁慶は美男/扇拍子/常磐/義朝/宗清/鞍馬寺/僧正坊/五条橋/金売吉次/熊坂/秀衝/平泉/光堂/黄色い鳩/伊勢三郎/頼朝/黄瀬川/浮島ヶ原/初陣/一の谷/扇の的/嗣信最期/教経・知盛/土佐坊昌俊/梶原景時/後白河法皇/武蔵坊/静御前/忠信/作り山伏/富樫/高舘/夏草/北方の王者
義経にまつわる多角的なエッセイ。おすすめです。
★★★★
   
義経伝説

高橋富雄
中央公論社 新書 1966
序章:歴史と伝説/第一章:歴史以前/第二章:鎌倉の道理/第三章:都入り/第四章:源平国争い/第五章:さいはて/第六章:義経記の世界/終章:判官贔屓/系図/地図/年表
義経研究の入門書としていろんなところで紹介されているメジャーな新書。源平時代の全貌が義経という特異な人物を通してよく把握できます。また後半の「義経記の世界」の章では義経伝説の真実とそれが生じるにいたるプロセスがよくわかります。
★★★
   
源義経

角川源義・高田実
角川書店 新書 1966
※2004年に講談社学術文庫として文庫本サイズで再版
第一部(1:幼年時代/2:鞍馬脱出/3:鬼一法眼のこと/4:弁慶物語)
第二部(1:歴史への登場/2:鎌倉殿代官義経の戦績/3:源平争乱の舞台裏/4:兄弟の反目/5:義経悲劇の歴史性)
第三部(1:腰越状以後/2:西国落ち/3:雪の吉野山/4:勝長寿院縁起縁起/5:京都脱出/6:北国落ち/7:栗原寺/8:北方の王者/9:義経最期)

義経研究の内容の濃い新書です。
★★★
  
義経と日本人

和歌森太郎
講談社 現代新書 1966
1:国民感情の中の義経(@義経の人気A義経の人柄B判官びいきC判官びいきへの社会史的条件)
2:義経の登場(@頼朝との生育のちがいA頼朝との貫禄のちがいB義経の容姿風貌C鞍馬時代の社会情勢D奥州下りまでの陸奥の情勢E物語に描かれた奥州下りF「日本史の人物」中の義経)
3:源氏再興の機会(@後白河院と平家の抗争A源氏の旗あげ)
4:平家討滅と義経(@平家の衰勢と東国A頼朝・義経の疎隔B平家を滅ぼす)
5:義経の失脚(@平家滅亡後の頼朝A義経の謀反)
6:義経の没落(@行くえ不明になる)

ですます調の平易な文章で書かれたたいへんわかりやすい、重宝な義経論新書です。
★★★★
   
源義経の謎

菊村紀彦
大和書房 ソフトカバー 1966
序章:北上川挽歌/1:魅惑の人・源義経の謎/2:雪の夜、彷徨う母子/3:鞍馬天狗の誘い/4:大脱走/5:陸奥は花ざかり/6:老兵は消えず/7:翻る白旗/8:黄瀬川は見ていた/9:鎌倉…響く槌音/10:宇治川の涙/11:鹿も四つ足、馬も四つ足/12:逆櫓をめぐる黒い争点/13:優雅、あまりにも優雅な合戦/14:壇ノ浦、海底の都/15:義経ひとり都大路をゆく/16:腰越悲歌/17:兄弟垣に争うとき/18:流離の人と吉野山/19:憂愁舞曲のあとに/20:黄金の牢獄/21:生きている義経/22:成吉思汗は義経か/終章:現代人と義経
伝説の人・義経の実像を探る!ライトな視点とポップな構成で読みやすい。姉妹編に「弁慶の謎」あり。
★★★★
   
臼杵石仏
〜義経と運慶の秘密〜

大久保貴之
誠文堂新光社 ソフトカバー 1971
序章/海洋と帰化人/真野長者/臼杵一族/為朝と義経/源平合戦/康慶と運慶
大分県の臼杵史。源為朝と義経伝説に言及、さらに臼杵石仏を作った運慶と若かりし日の義経の出会いがほのめかされている…ようですがスミマセンまだちゃんと読んでません。   
九郎義経の謎

伊藤加津子
共栄書房 ソフトカバー 1981
第一章:三人の義経と佐渡流刑の謎
第二章:追討宣旨・院宣の朝令暮改の謎
第三章:落人九郎義経の謎
第四章:安徳帝御陵偽装説の謎
第五章:平家落人の謎
第六章:九郎義経の死と生存伝説の謎

源九郎義経と近江の山本義経、山下義経という三人の義経にまつわる謎を解く研究書。
ごめんなさい未読…
  
源義経
〜伝説に生きる英雄〜

関幸彦
清水書院 新書 1990
T伝説は語る(鞍馬山の遮那王・平泉での義経・武の系譜)
U源九郎義経・頼朝・鎌倉(黄瀬川の対面・頼朝のけじめ・もう一人の義経、義仲、行家・義経の試金石・東国武士団)
V判官義経・後白河院・京都(一ノ谷の合戦・戦さの作法・後白河法皇と義経・屋島の合戦・壇ノ浦の合戦・腰越の悲嘆・義経の謀叛)
W義顕・秀衝・平泉(その後の義経、静・再び奥州へ・鎌倉と平泉・頼朝の夢・義経の最期)
X再び伝説は語る(海を渡る義経・未完の英雄)
義経関係略年表

義経研究の新書。わかりやすいです。
★★★
   
義経の謎
〜「薄墨の笛」が語る
源平秘史〜

邦光史郎
祥伝社文庫ノン・ポシェット 文庫 1993
1章:残された義経ゆかりの「薄墨の笛」
  〜清水市・鉄舟寺に眠る笛は、何を証すのか
  @発見された“薄墨と名づけたる笛”Aいつ、なぜ、義経は寺に寄贈したのかB笛の寄贈を暗示する「腰越状」
2章:なぜ義経は“海戦”に勝てたのか
  〜壇ノ浦で「陸の源氏」が「海の平氏」を滅ぼせた理由
  @権勢を誇った「海の平氏」A坂東武者を掌握した「陸の源氏」B面目躍如!「一ノ谷」と「屋島」の奇襲C「壇ノ浦」――義経は海を知っていた!
3章:義経は二人いた!?
  〜“もう一人の義経”が生んだ英雄義経像
  @もう一人の義経“山本義経”とはA義経に与えた“山本”義経の影響B「英雄は死なず」民衆が育んだ義経伝説

義経の笛をめぐって読み解く歴史ドキュメント…というか歴史ミステリー。おもしろいです。
★★★★
   
源義経のすべて

奥富敬之
新人物往来社 ハードカバー 1993
源義経とその時代(奥富敬之)/義経の出自(伊東和彦)/義経の合戦(稲生晃)/義経と頼朝(前川佳代)/義経と陸奥国(岡田清一)/義経をめぐる女たち(小石房子)/古典世界の義経(福島千賀子)/「腰越状」の全訳と義経悲劇の原因(古川良)/義経伝説とその周辺(関幸彦)/義経関係人物事典(稲生晃)/義経関係史跡事典(山田淳一・國分重男)/義経関係年譜(大野泰邦)/義経関係文献(青山洋一・山崎郁子)/清和源氏略系図(大野泰邦)
義経のすべてがこれでわかる!――わけではないが年譜や人物史跡事典、文献資料などは非常に便利で重宝します。余談ですが編者の奥富氏は表向き公平な立場で論じておられるつもりでも文章の端々から抑えきれない義経嫌い(&頼朝好き)の念がよく伝わってきます。
★★★
  
義経紀行
〜弁慶はエミシの
末裔だった〜

林順治
彩流社 ハードカバー 2002
天皇家・藤原摂関家・源氏平家の骨肉相食む葛藤と争乱のなかで義経と弁慶の絆はなぜ生まれたのか。平安末期から鎌倉初期に起きた驚天動地の歴史に「戦さ」と「語り」の世界から光を当てる。
ごめんなさい末読・・・
   
源義経111の謎

楠木誠一郎
成美文庫 文庫 2004
第一章:義経と源平合戦―― 一ノ谷、屋島、壇の浦の戦略と戦術
第二章:牛若丸時代――幼き義経と常盤御前の日々
第三章:頼朝との対面と決裂――運命を分けた兄弟の愛憎劇
第四章:弁慶と静御前――義経をささえた男と女の物語
第五章:平泉と奥州藤原氏――義経に夢を賭けた北の雄
第六章:義経の最期――合戦の天才の壮絶な死
第七章:義経北行伝説――海を渡る英雄の「その後」
源義経関係系図/源義経略年表/源義経関係人物事典/参考文献
「希代の戦上手な武将」源義経の伝説と真実を111のQ&Aで読み解く書。表紙の義経イラストがやたらタッキー似。Q&A形式の一見わかりやすい初心者向けの構成ですが中身はかなり専門的でマニアックです。
★★★
   
義経の謎<徹底検証>

加来耕三
講談社 文庫 2004
序章:義経を彩る歴史ロマンの謎
第一章:源平両氏の勃興の謎
第二章:武士が進出以前の、王朝政治の謎
第三章:王朝ロマンの怪奇と現実の謎
第四章:保元の乱に隠された平家謀略の謎
第五章:平治の乱と『平家物語』にかかわる謎
第六章:「平家にあらずんば人にあらず」の謎
第七章:頼朝の挙兵にまつわる謎
第八章:「驕る平家は久しからず」の謎
第九章:日本軍略・兵法の謎
第十章:源義経、鞍馬修行時代の謎
第十一章:日本版『三国志』の英雄・木曽義仲の謎
第十二章:平家滅亡の陰に隠された謎
第十三章:鎌倉幕府存続の謎
終章:義経と中世にかかわる「if」にあえて挑む
義経とその時代ににまつわる謎を150の項目を設けてより奥深く綿密に検証した、歴史玄人向けの内容の濃い本。源平争乱のみならずバックボーンとなった平安王朝時代の政情や紫式部、安倍晴明などについても幅広く取り扱っています。
★★★
   
史伝 源義経

岳真也
学研M文庫 文庫 2004
プロローグ:元寇――その恨みは海を越えて
第一章:父の無念を心に秘めて
第二章:奥州平泉・藤原秀衝のもとへ
第三章:歴史の表舞台に立つ
第四章:常勝の将軍
第五章:源平最終戦
第六章:栄光からの転落
第七章:頼朝との決別
第八章:義経散華
第九章:義経生存説とチンギス・ハン伝説
源義経にまつわる多彩なエピソードを、『平家物語』『源平盛衰記』『義経記』等出典を明らかにしつつ小説仕立てで紹介・分析していく、とても読みやすい義経伝記ガイド本。初心者におすすめです。
★★★
   
源義経

五味文彦
岩波書店 新書 2004
T幼きころ――史料の性格を考える
U童の時代――『平治物語』の世界
V英雄への階梯――『義経記』の世界
W英雄時代――『吾妻鏡』の世界
X義経の力――文書から探る
Y合戦の英雄――合戦記と物語
Z頼朝との対立――書状の役割
[落日の義経――宣旨と院宣
\静の物語――『吾妻鏡』と『玉葉』
]奥州の世界へ――記録と伝説
参考文献/源義経関連略年表/あとがき/索引
数ある史料を細やかに分析しながら義経と源平時代の真偽をバッサバッサと斬ってゆくシビアな研究書。これまでの定説をくつがえす見解の数々に「なるほど!」と膝を打ったり「そうかあ?」と鼻白んだり、むずかしいけど読みごたえたっぷりの内容です。
★★★
   
源義経 大いなる謎

川口素生
PHP 文庫 2004
序章:源義経とその時代をめぐる謎
第1章:牛若丸の生い立ちをめぐる謎
第2章:義経の父祖・清和源氏&鎌倉幕府をめぐる謎
第3章:平清盛&平氏一門をめぐる謎
第4章:義経VS義仲、義経VS平氏の決戦をめぐる謎
第5章:義経の妻妾&子供をめぐる謎
第6章:義経VS頼朝の対立をめぐる謎
第7章:陸奥平泉&義経の最期をめぐる謎
第8章:義経・弁慶と演劇・文学をめぐる謎
第9章:義経不死伝説&ジンギスカン説をめぐる謎
源平略系図/源義経関係略年表・関係人物・関係史跡/主要参考文献一覧
義経とその時代について101の項目を設けて読み解くガイド本。「清和源氏が全国各地で繁栄したわけは」という学術的なものから「北条政子が頼朝の不倫相手の屋敷を破壊したわけは」なんてスキャンダラスなネタまで幅広く取り扱っています。
★★★
   
源義経99の謎と真相

監修/高木浩明
二見書房 文庫 2004
第1章:義経の出生と奥州にまつわる謎
第2章:兄・頼朝との再会と初陣をめぐる謎
第3章:平家滅亡に追いこんだ義経、怒涛の快進撃の謎
第4章:栄光の道を閉ざされた英雄・義経の流浪の日々の謎
第5章:奥州で悲劇の最期を遂げた義経にまつわる謎
第6章:義経のイメージを覆す史実とスキャンダルの謎
第7章:悲劇の英雄・義経を支えた家来たちの謎
第8章:義経伝説を彩った輝かしい脇役たちの謎
第9章:時代を超えていま再びよみがえる義経伝説の謎
義経にまつわる謎を奥深く解説しています。史跡写真も豊富。複数の研究者による共著なので章ごとに微妙に見解のズレがあるのもまた味か。オビに「NHK大河ドラマを10倍楽しむ本」とありますが、ドラマをあくまでドラマとして楽しみたい人にはこういうウンチク本って逆に興ざめしちゃうんじゃあ…。
★★★
   
義経伝説
判官びいき集大成

編/鈴木健一
小学館 ソフトカバー 2004
第1章:伝説の誕生
第2章:英雄の登場
第3章:落日の義経
第4章:日本人の心の義経
略年譜/もっと読みたい人のブックガイド/関係地図
「平家物語」「義経記」はもとより浄瑠璃、御伽草子、歌舞伎、川柳などさまざまなジャンルで描かれた義経像を、各時代の民衆の「判官びいき」を慮りながら考察してゆく一冊。義経にまつわるエピソード(事実から作り話まで)がほぼすべて把握でき、文章もとても読みやすいのでおすすめです。
★★★★
  
義経の正体

佐治芳彦
KKベストセラーズ 文庫 2004
序章:義経の背後に漂う人々
第1章:源氏の発生と野望
第2章:源氏につながる漂泊の人々
第3章:遊女を母にもつ義経と清盛
第4章:新たなる希望の星「義経」
第5章:源氏の隠れ里「鎌倉」
第6章:義経の死と時代の終焉
終章:判官びいきが生んだ不死伝説

「山の民」をキーワードに、源平の時代背景、義経の周辺を読み解いていく書。異説としてはおもしろいですが、すべてを「サンカ」「タタラ」に帰結しようという論説はやはり一般的ではない。
★★
   
義経の悲劇

奥富敬之
角川選書 新書 2004
第1章:源平合戦前史(源氏から平家へ/異なる生い立ち/頼朝の挙兵)
第2章:東国自立への頼朝の決断(御家人制の確立/目的は復讐にあらず/覇を競う源氏の氏人たち)
第3章:専制君主後白河院(北陸道の諸合戦/後白河院の策謀/上洛戦を決意した頼朝の意図)
第4章:義経の悲劇の本質を探る(さまざまな思惑が露呈した一ノ谷合戦/頼朝の理想を理解できない義経/義経の本質が露呈した屋島ノ合戦/頼朝に決別された義経)
第5章:通じなかった頼朝の願い(義経・頼朝の相克/流浪の果てに)
エピローグ:義経を廻る世評の歴史
義経の悲劇の原因は彼の後白河院(公家社会)への傾倒にあるとして頼朝との相克の必然性が説かれています。義経が意識的に頼朝に逆らったと決めつける強引な論法に辟易。著者の頼朝びいきの強い強い一念がよくわかる一冊です。
★★★
   
義経の登場
〜王権論の視座から〜

保立道久
NHKブックス 新書 2004
序章:「平泉姫宮・伯耆王子」と「九条院」――再検討の起点(義経の新しい歴史像)
第1章:母・常磐と父・義朝――平治の乱まで(源氏の棟梁と雑仕女)
第2章:九条院権大夫平清盛と牛若丸――平治の乱の戦後処理(母・常磐の人生環境)
第3章:青年期義経の人生環境――常磐・一条長成・源頼政の交点(「義経以前」の義経 史料の偏った性格)
第4章:内乱の開始と平泉姫宮との邂逅――高倉範季の位置(義経と平泉姫宮)
第5章:以仁王の蜂起と義経の登場――暴発した王統対立(以仁王の蜂起を政治史の中心問題にすえる)
終章:東大寺大仏再建と平泉姫宮――義経の没落の先にあったもの
九条院に仕えた生母常磐や義父の一条長成など、義経をめぐる母系(貴族社会)ネットワークに着眼し、義経が決して「卑しい庶子」ではなかったという論が展開されています。斬新な仮説として興味をそそられます。
★★★
   
源平時代・源平人物メイン
タイトル
著者
出版社 形態 発表年(初出)
随筆新平家

吉川英治
講談社 文庫 1950〜57?
大長編小説「新平家物語」執筆にあたっての吉川氏の取材記・制作秘話。平家物語に対する思いが熱く語られ、また取材や執筆中のさまざまな出会いや出来事が情緒的に綴られた珠玉のエッセイで読みごたえ十分です。
★★★★
   
弁慶の謎

菊村紀彦
大和書房 ソフトカバー 1986
1:不思議な人弁慶/2:義経の栄光と哀愁/3:疑問の人?義経/4:歴史幻想・黒の逆転/5:弁慶…その劇的な生涯/6:弁慶が死ぬものか/7:抹殺された弁慶/8:伝説の人弁慶/9:弁慶の謎を斬る/10:歴史幻想・白い炎/終章:弁慶と蕎麦と…
武蔵坊弁慶の真の姿に迫る研究書。弁慶のすばらしさを前面に出すためか義経に対してはちょっとイジワルな解釈がなされています。
★★★
   
頼朝の精神史

山本幸司
講談社選書メチエ 新書 1997
第一章:平治の敗戦と配流/第二章:旗挙げ/第三章:神話復活の時代/第四章:政権掌握への途/第五章:梶原景時と頼朝の雑色/第六章:頼朝の死と景時/第七章:鎮魂の宮――鶴岡八幡宮
ごめんなさい未読…
   
逆説の日本史D
中世動乱編
源氏勝利の奇蹟の謎

井沢元彦
小学館 文庫 1997
第一章:源頼朝と北条一族編――「源源戦」「幕府成立」を予見した北条時政の謀略
第二章:源義経と奥州藤原氏編――“戦術の天才”義経が陥った「落とし穴」
第三章:執権北条一族の陰謀編――鎌倉「幕府」を教える歴史教科書の陥穽
第四章:悲劇の将軍たち編――「言霊将軍」実朝を暗殺した黒幕
第五章:北条泰時と御成敗式目編――「法の正義」に優先する「道理」精神

義経の戦場における天才ぶりと政治におけるバカっぷりがつぶさに浮き彫りにされています。でも司馬遼太郎「義経」のエピソードを史実のように扱うのはどうかと…。
★★★
   
源平の盛衰

上横手雅敬
講談社 文庫 1997
第一章:坂東の風雲/第二章:平氏全盛への道/第三章:平氏と文化/第四章:みちのくへの旅/第五章:源氏の旗挙げ/第六章:源平合戦絵巻/第七章:頼朝の制覇/第八章:鎌倉幕府/第九章:乱世を生きる/年表/索引
平家物語の虚実を緻密に分析し源平争乱の本質を読み解く書。
★★★
   
源平争乱と平家物語

上横手雅敬
角川書店 文庫 2001
第一章:平氏の盛衰
平氏の台頭/平氏の権勢/平氏の財力/平氏と瀬戸内海
第二章:源平時代の人間像
平清盛/平重盛/祇王と平宗盛/源頼朝の生涯/「平家物語」が描く頼朝/源平の武将たち/梶原景時/生きていた小次郎/「弁慶上使」と弁慶説話/井上靖の「後白河院」
第三章:平家物語の世界
「平家物語」の虚実/貴族・武士の交替/軍記物語と史実/黒板勝美の「義経伝」/京都の源平史跡
第四章:源平争乱と地域史
近江の源平争乱/源平争乱と瀬戸内海/源平争乱と紀州

★★★
   
源頼朝
〜鎌倉殿誕生〜

関幸彦
PHP 新書 2001
第T部:治承四年――反乱から内乱へ
@謀叛の政権A武威の来歴と源氏神話B義仲との覇権争い
第U部:文治元年――鎌倉殿は誕生した
@鎌倉殿とは何かA天下草創の時代
第V部:建久元年――そして日本国の成立
@鎌倉殿のさらなる戦いA内乱の終焉と日本国
頼朝関係年表/主要参考文献

ごめんなさい未読…
   
もう一つの鎌倉時代
〜藤原定家・太田牛一の
系譜〜

井上力
講談社出版サービスセンター ソフトカバー 2002
「吾妻鏡」の読み方は間違っていた。 源頼朝は暗殺された! 800年を経てはじめて明かされた鎌倉史の全貌
本当の鎌倉史。 百人一首は藤原定家のメッセージであった。「吾妻鏡」にはすべての謎が語られていた。

ごめんなさい未読… …900ページもあるねんもん!辞書より厚い。
 
詠う平家殺す源氏

谷沢永一・渡部昇一
ビジネス社 ハードカバー 2002
日本人があわせ持つ心の原点を探す
「平家物語」には日本人の姿が見える
戦乱の「歴史」、盛者必衰の「物語」、時代の「大転換」
序章:「大変革期」を活写した人間劇
第1章:平氏こそ日本型「家族」の理想像
第2章:滅亡を招いた平家の「集団力学」
第3章:脈々たる民族的「感性」の源泉
第4章:物語創作の「謎」に迫る
第5章:源平台頭の原因は「僧兵」だった
第6章:神と仏を併存させた日本人の「英知」
第7章:「武」の源氏に敗亡した「文」の平氏
第8章:「権力と人間」の宿命的な構図

ごめんなさい未読…
   
義経と静御前
二人の「その後」

今泉正顕
PHP 文庫 2004
日本史最大の悲恋ものがたり…だが、それには続きがあった。
第1章:悲劇の英雄「義経」と悲劇の舞姫「静御前」
    ――二人の出会いから別れまでわずか二年足らず
第2章:「静御前」京の都に到着後の行方は謎?
    ――全国各地「静御前」の死亡地を検証する
第3章:「静御前」終焉の地はまだまだ続く
    ――郡山の「静御前」伝説と、それ以前の伝説
第4章:「義経」と「静御前」の悲劇の原因は?
    ――兄・頼朝の立場を理解しない義経にあった
第5章:「義経」は殺されずに生きていた!
    ――蝦夷地(北海道)逃亡は事実である
第6章:「義経」は蝦夷地(北海道)から大陸に向かった
    ――雄飛むなしくロシア領で死す

史書に残されていない静御前の足跡と人となりを、全国各地に散らばる史跡や伝承をもとにつぶさに調査。「静の墓」と称される史跡の多さに、いかに彼女が民衆に愛されたヒロインだったのかがうかがえます。静御前の史跡めぐりはこの一冊で完璧!(でも史跡の多さに気が遠くなる)また義経の「その後」も検証、東北から北海道にかけての史跡調査も徹底してます。
★★★
  
源平合戦 戦場の教訓
〜勝者と敗者、
何が明暗を分けたのか〜

柘植久慶
PHP 文庫 2004
壇ノ浦合戦、平氏はこうすれば勝った。23の戦闘が語りかける「戦いの原則」とは。現代にも通じる「勝者と敗者の方程式」をズバリ読み解く!
第1章:平氏の支配確立
第2章:源頼朝の挙兵
第3章:木曽義仲の挙兵
第4章:源義経の戦歴
第5章:頼朝の天下確立
源平時代の23の合戦、その勝敗の原因と教訓を古今東西の戦争(古代ローマ、アレクサンドロス大王やナポレオン、日露戦争等)と比較しながら考証しています。地図や写真も併せて記載されているのでとてもわかりやすい。
★★★
   
源平合戦・あの人の「その後」
〜伝説・伝承にみる
「それから」の人間模様〜

日本博学倶楽部
PHP 文庫 2004
死んだはずのあの人が生きていた!?義経、弁慶、清盛、梶原景時、那須与一…有名人から脇役までの意外な伝説!
序章:5分でわかる!!源平合戦
第1章:英雄は生きていた!?あの人の伝説
第2章:武士なら潔く!?あの人の壮絶な死に際
第3章:出自に翻弄された!あの人の数奇な運命
第4章:武士の誇りを捨てなかった!あの人の生き方
第5章:おごれる人も久しからず…あの人の悲しい晩年
第6章:合戦に引き裂かれた!?あの人の熱い恋心
第7章:新たな活躍!?あの人の意外な余生
源平時代に名を馳せた人々の知られざる「その後」を検証、紹介しています。「命惜しむな名こそ惜しけれ」のこの時代、生きざまよりも死にざまからその人物のキャラクターがより鮮やかに映し出されます。
★★★
   
義経の時代100人

監修/関幸彦
河出文庫 文庫 2005
1:義経、および彼ともっとも縁の深かった16人(後白河天皇、静御前、平清盛…)
2:<義経の時代>をいろどった重要人物49人(梶原景時、金売吉次、伊勢能盛…)
3:ユニークな名脇役たち(安徳天皇、大姫、常陸坊海尊…)
系図/地図/略年譜/執筆者一覧
平安時代末期から鎌倉幕府初期までの激動の時代を生きた100人の人物像を、最新の研究成果を踏まえて紹介する一冊。歴史上の偉人から伝説上の人物まで幅広く網羅しています。
★★★
   
歴史総合
タイトル
著者
出版社 形態 発表年(初出)
歴史よもやま話
日本編(上)

編・池島信平
文芸春秋 文庫 1966
※文芸春秋より1982年に再版
平泉三代(森嘉兵衛/富田常雄/遠山孝)
なぜ平泉に文化が栄えたか/いまも日本人の心に生きている義経/義経は日本人の理想像/金色堂は墓場か持仏堂か/四体のミイラの調査/北方の王者の面影/平泉三代と東北文化
源氏と平氏(渡辺保/松本新八郎/中山義秀)
如才ない政治家・平清盛/野性味あふれる源氏の棟梁/革命的な頼朝の蹶起/北条政子への毀誉褒貶/システムをつくった頼朝/天才的武将、義経/山本義経という怪人物/源氏の白旗・平家の赤旗

歴史についての著名人らの対談集。源平時代関連は以上のふたつです。
★★★   
物語日本史(中)

平泉澄
講談社学術文庫 文庫 1979
藤原氏の全盛/八幡太郎義家/後三条天皇/院政/保元の乱(上下)/平治の乱/平家の全盛/源三位頼政/平家の都落ち/源義経(上下)/源頼朝(上下)/承久の御計画(上下)/北条時宗/後醍醐天皇/楠木正成/建武の中興/吉野57年(一〜四)/室町時代
日本史を物語として綴ったシリーズの一冊。歴史の流れをシンプルに把握できます。
★★★
   
日本異界絵巻

小松和彦
宮田登
鎌田東二
南伸坊
ちくま文庫 文庫 1990
スサノヲ/八岐大蛇/ヤマトタケル/小子部栖軽/聖徳太子/役小角/吉備真備/空海/菅原道真/安倍晴明/俵藤太/平将門/酒呑童子/土蜘蛛/宇治の橋姫/鬼女紅葉/玉藻前/弥三郎婆/源為朝/舜天王/源義経/弁慶/鞍馬天狗/崇徳上皇/日蓮/後醍醐天皇/甲賀三郎/織田信長/岩見重太郎/累/河童/山女おかね/化け猫/アラハバキ神/ポイヤウンペ/平田篤胤/出口王仁三郎/ねずみ男/口裂け女/アキラとナウシカ/後詞鼎談 世紀末、そして異界論
日本産(?)のさまざまな魑魅魍魎、妖怪から実在人物からアニメキャラまでが、イラストつきのわかりやすい解説文で紹介されてておもしろい。オススメです。
★★★★★
   
新・大逆転の日本史
〜壮大な歴史の
転換期を描く!〜

早乙女貢 他
三笠書房知的生きかた文庫 文庫 1992
第三話:秀衝・義経は鎌倉幕府を確実に倒す秘策を持っていた!
秀衝の死によって鎌倉政権の倒壊が救われた?/天に見捨てられた義経、その決定的な蹉跌とは?/義経、平泉入りの報に頼朝が驚愕、狂躁した理由/秀衝と義経が練った鎌倉進行作戦とは?/なぜ幻となった“関東進行作戦”

★★★   
歴史余話

海音寺潮五郎
文芸春秋 文庫 1995
1:源平の周辺(平将門/「平家物語」雑感/源頼義/義経と弁慶)
2:戦国の周辺 
3:幕末の周辺

歴史小説作家海音寺氏の歴史エッセイ。義経生存説・ジンギスカン説の真偽、弁慶の出自等について、クールで鋭い見解を示しておられます。
★★★  
日本史を操る興亡の方程式

中津文彦
PHP ハードカバー 1995
※1999年に文庫として再版
序:興亡に見る三つの共通項
第一部:滅亡の方程式
  1.帝国陸海軍/2.徳川幕府/3.武田氏/4.平泉/5.鎌倉幕府
第二部:興隆の方程式
  1・藤原氏/2.奥州藤原氏/3.徳川幕府/4.帝国陸海軍/5.天の勢い
中津氏独自の視点で、歴史の興亡にピタリとあてはまる方程式を解明しています。
★★★
   
これは知っておきたい!
日本の歴史名場面100

童門冬二
三笠書房知的生きかた文庫 文庫 1996
第2章(平安・源平時代):権力の盛衰・歴史をひっくり返したこの名場面
 「常磐御前の都落ち」――母を助けるか、子ども(義経)を助けるか…
 義経の「判官びいき」――伝説の男はこうしてつくられた!
 頼朝・義経、黄瀬川で対面
 「鹿も四つ足、馬も四つ足・・・」――義経騎馬軍団、ひよどり越の逆落とし など
第3章(鎌倉・南北朝時代):大儀と名分・時代が流れを変えた瞬間
 静御前の舞――そのとき頼朝は?そして政子は?
 義経、安宅関破り――「弁慶の勧進帳」はいかにして生まれたか! など
★★★   
歴史の嘘と真実
〜誤解だらけの
「正義」と「常識」〜

井沢元彦
祥伝社文庫ノン・ポシェット 文庫 1996
歴史学者の盲点を衝く日本史の真相!
「人権」という名の差別の実態・日本の新聞の「常識」は、世界の「非常識」・日本史を解く鍵、オオクニヌシ・なぜ帝に姓がないのか・日本人を支配する「言霊」・なぜ、日本人は水に流すのか・源頼朝〜覇者の教訓・信長を殺したのは誰だ!

義経・頼朝に関する記述はほんの2、3ページですが、ほかのページもおもしろい。歴史のみならず日本文化論として興味深い内容です。
★★★
   
謎ジパング

明石散人
講談社 文庫 1996
桃太郎の正体/どこからやって来たのか日本のお茶/オムスビの不思議/「皿屋敷」の謎を探る/邪馬台国に謎はない/日本最古の将棋駒/金閣寺の伝説/江戸っ子の洒落/富士山雑話/宇宙人を閉じ込めた日本人/青いチューリップ/伽羅先代萩――頼朝と義経は本当は仲がよかった?/黄金の国ジパング/江戸文化立役者の罪/川中島合戦の通説の真偽/失われた大四元/国宝金印のキズ/金印発見の裏事情
頼朝と義経は実は強い兄弟愛で結ばれていた?という仮説。義経は奥州藤原氏の「行政機構」ソフトを鎌倉幕府創建のために兄に捧げ、さらには奥州藤原氏もろとも滅ぶことで兄の野望を身をもって叶えた。頼朝はそんな弟の自己犠牲に心の中で泣いていた…。このほかにも、著者独自の解釈をほどこした日本史トンデモ説?がいろいろ唱えられております。

★★★   
逸脱の日本中世

細川涼一
ちくま学芸文庫 文庫 1996
※ちくま学芸文庫として2000年に再版
狂気と倒錯 異色の中世史――物狂い、同性愛、輪廻転生、異性装…能からたぐりよせる、隠された心性史
T感性の逸脱
第一章 中世の狂気・物狂い――能と漂泊する精神
第二章 中世寺院の稚児と男色――謡曲「経正」「花月」と同性愛
第三章 第六天魔王と解脱房貞慶――謡曲「第六天」と伊勢参詣説話
第四章 虫類成仏と中世人の死生観ーー謡曲「胡蝶」と輪廻転生
第五章 中世王権と「亡国の音」――小督説話と音楽
U逸脱する女性
第六章 白拍子の男装・能の女装――中世芸能民の性別越境
第七章 二人づれの女性芸能者――中世遍歴民の世界
第八章 大力の女と白拍子――中世東北の武家と血統伝説
義経のことはほとんど出てきませんが、義経の生きた中世という時代を民俗面かつ心理面で理解する上でとても貴重な一冊です。
★★★
   
日本史が楽しい

編・半藤一利
文芸春秋 文庫 1997
日本最初の知識人聖徳太子/遣隋使・遣唐使にみる日本積極外交術/万葉集大伴家持の怨念/紫式部は近眼だった!?/「かな」誕生ものがたり/『平家物語』とおおらかな日本人/足利義満とその皇位への野望/七福神は何処から来たか/お天気日本史/新・十二支物語/謡曲の義経(増田正造・観世清和)/決戦川中島の嘘/小説のなかの織田信長/“秀吉の京都”聚楽第のナゾを探る/『おくのほそ道』もうひとつの読みかた/大相撲のルーツ/隠居の効用/富士山の履歴書/水のある都市江戸/歌仙を愉しむ法/落語にみる江戸っ子の研究/吉原の遊女と客/新説・忠臣蔵/桜田門外の変と尊皇攘夷/明治維新の志士ベスト10/江戸開城と会津の悲劇/日本海海戦の世界史的意義/夏目漱石を探偵する/戦後をつくった大正知識人
日本史を半藤一利氏が各界の著名人らと読み解いていく対談集。義経のコーナーでは、謡曲(能)で扱われる義経像から、彼の真のキャラクター性、彼に託された世の人々の思いに迫ります。教科書だけでは見えてこない日本史の奥深さを知ることができる(対談形式なので読みやすいのもありがたい)、義経のページ以外も必読の良書です。
★★★★★
   
日本史を読む

丸谷才一・山崎正和
文芸春秋 文庫 1998
恋と密教の古代
院政期の乱倫とサロン文化
異形の王とトリックスター
足利時代は日本のルネッサンス
演劇的時代としての戦国・安土桃山
時計と幽霊にみる江戸の日本人
遊女と留学女性が支えた開国ニッポン
近代日本 技術と美に憑かれた人びと
「院政期の乱倫とサロン文化」の章の「政治的手腕としての男色」の項で、藤原頼長や後白河法皇のソッチ系の話が出てきます。平重盛や源頼朝は平治の乱以前には後白河の稚児だったのでは、との疑惑が!うげげキモイ…ただの疑惑であることを願う。義経はといえば「(平治の乱の頃は)まだ小さかったから」と度外視されてますが彼の場合は成人してからのほうがアブナイんじゃあ…
★★★★
   
熊野三山・七つの謎
〜日本人のl死生観の
源流を探る〜

高野澄
祥伝社文庫ノン・ポシェット 文庫 1998
序章 様々な顔を持つ聖地・熊野
第一章 小栗判官・照手姫は、なぜ熊野を目指したのか
第二章 なぜ上皇は、何度も熊野御幸を行なったのか
第三章 なぜ源平二大勢力は、熊野を味方にしたかったのか
第四章 なぜ補陀落渡海が、熱狂的ブームになったのか
第五章 なぜ熊野三山は、女性にも開放されたのか
第六章 カラス文字が刻まれた「熊野牛王」とは何か
第七章 「娘道成寺」安珍・清姫の意外な正体
熊野ゆかりの弁慶の出生秘話や、源平合戦に大きく関与した熊野水軍、義経も誓約書として使った熊野牛王のことなどがくわしく紹介されています。紀行文としても楽しめます。
★★★★
   
日本史鑑定

明石散人・高橋克彦
徳間書店 ハードカバー 1999
※2002年に文庫版として再版
天下の文人、吉川栄治賞受賞作家・高橋克彦氏の作家ならではの歴史認識に、“知の神”ともいわれる明石散人氏が刺激的な論考で迫る超絶無比の書。
第一章 日本のオリジナリティ
第二章 正史と偽史を分ける視点
第三章 浦島伝説で解く天皇家の謎
第四章 日本歴史の裏側に潜むもの
第五章 柳田民俗学が陥った罠
第六章 東北王朝と鎌倉幕府成立の謎
第七章 日本が誇れるもの

「謎ジパング」で源頼朝・義経の兄弟愛について語った明石氏ですが、この本では感情論より政治論として兄弟連携説を扱っています。
★★★
   
司馬遼太郎の日本史探訪

司馬遼太郎
角川書店 文庫 1999
平家を全滅させた軍事的天才 源義経(司馬遼太郎・吉屋信子)/湊川に戦死した南朝の忠臣 楠木正成/蝮と呼ばれて国を取った男 斉藤道三/近世を開いた合理主義の天才 織田信長/天下を分けた大激戦の明暗 関ヶ原/南方に進出した日本商人 朱印船/日本探求に賭けた青年医師 シーボルト/幕末の人材を育てた蘭方医 緒方洪庵/尊攘派弾圧の幕末機動隊 新撰組/維新史を飾った陰の実力者 坂本龍馬/花の都パリに現れた侍たち 幕末遣欧使節/上野戦争の官軍総司令官 大村益次郎/北海道開拓に夢を託した人々 新世界“蝦夷地開拓史”
司馬氏は義経の奇抜な戦法とアイドル性・政治的不能を冷静に語り、平家命の吉屋氏は義経を野蛮、残虐、不良とひたすらなじる。はいはいはい、平家はエライですね〜!はいはい、しっしっ。さようなら。読む価値があるのは司馬遼太郎のパートだけ。
★★★
   
新人物日本史
光芒の生涯
(上巻)

畑山博
学陽書房・人物文庫 文庫 1999
1 古代(阿弓流為/平将門/藤原清衝)
2 源平争乱(以仁王/木曽義仲/巴御前/源義経vs平維盛/源頼朝vs北条義時/源実朝)
3 中世(西行/親鸞/日蓮)
4 南北朝(足利尊氏/高師直/佐々木導誉/楠木正成)
5 室町(日親/足利義政/蓮如)
6 戦国乱世(北条氏康/武田信玄/上杉謙信)

義経の項では、戦乱を疎んだ悲劇の貴公子・平維盛に義経はどこか近しい思いを抱いていただろう、との説が。頼朝の項では、北条政子は父時政の意に従って行動するだけの実は古いタイプの女、政子の弟・義時は源氏の棟梁である頼朝につねに軽蔑と妬みを感じており、頼朝の死因は北条氏による毒殺である、との大胆な見解が示されています。
★★★★
   
独想日本史
高橋克彦迷宮コレクションA

高橋克彦
角川書店 文庫 2001
丁寧な文献調査とミステリー作家ならではの大胆な推理。学校や教科書では決して教えてくれない、独創性あふれるユニークな日本史
ストーンサークルは縄文人たちの道祖神だった!/縄文はなぜ滅びた 古代文明、大転換の謎/源義経 奥州逃亡の真相/大江山「酒呑童子」伝説にかくされた真実/歴史が教えてくれるもの/奥州は炎立つ――北の人、モノ、情報のネットワーク/義経翁の逃避行 奥州藤原氏の野望/小野小町 落魄の真相/隠された「文明開化」/伊達政宗 生き残りのグルメ戦略/東国の武士、天下を揺るがす/平安王朝、東北の大戦争 桓武天皇vsアテルイ

★★   
日本人が知らなかった
歴史の顛末
〜その人物は
どこへ消えたか?〜

歴史の謎研究会
青春出版社 文庫 2002
第一章 時代を動かした彼らはその後どうなったか
第二章 歴史的大事件の主役たちの顛末
第三章 芸術・文化を担った天才たちのそれから
第四章 突如、歴史の表舞台に立ったその人の行方
第五章 謎に包まれたあの人物の足跡

源頼朝の子孫、那須与一が僧侶になった理由、静御前のその後などが取り上げられています。静と義経は姉弟のようなカップル(しっかり者の姉、ヤンチャな弟)だったのだろう、との見解には私も賛成!
★★★
   
美少年日本史

須永朝彦
国書刊行会 ハードカバー 2002
美しき者たちの歴史 天草四郎や森蘭丸をはじめとした、日本の歴史を彩る「美少年」像の変遷を、驚異的な博識でもって語りつくす。
日本史上数多の「美少年」が神代の古きから平成に至るまでばっちり網羅されてます。「源平時代の美形」の項には平維盛・平敦盛・平経正・木曽義仲・梶原景季・源義経の面々が取り上げられています。でも私、義経以外のことなんて、とくにソッチ系のネタなんて別に深く知りたくもないんだけど…。
★★★
 
謎解き
「兄弟」の日本史
〜歴史を動かした
“血の絆”とは〜

歴史の謎研究会
青春出版社 文庫 2003
時代に翻弄され、愛憎劇を繰り返した意外な結末〜源頼朝と義経、坂本龍馬と乙女、孝明天皇と妹・和宮…
第一章 時代に翻弄された兄弟たち〜数奇な運命をたどった兄弟の末路〜
第二章 兄弟は「他人」のはじまり〜争いが残した兄弟の遺恨〜
第三章 志を同じくした兄弟の血の絆〜結束が結んだ成功物語〜
第四章 兄弟たちの情と愛〜支える者、支えられる者の人生〜
第五章 天才兄弟の華麗な経歴〜ともに活躍した兄弟の軌跡〜

日本史に登場する有名人兄弟を幅広く紹介。表紙イラストのにらみ合う源頼朝・義経兄弟にひかれて購入しましたが、彼らについての記述は6ページほど、第二章(兄弟は「他人」のはじまり)内に収録。日本中を巻き込んだ兄弟げんかの原因について解釈されています。
★★★
   
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